錨ANCHOR
と
錨泊
われら海族
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Aという男は般若面のドおとろしい顔
が特徴だ。その彼が中途入社早々、インドネシアのある港について、荷主にこんな話をしていた。
「○○島の沖は底が泥だから、アンカーを打つことができないんですよ。やっぱり岩場でないと錨はひっかかりませんからね。」
さもこれ見よがし「俺は知っているぞ」と言わんばかり、Bを横目で意識しながら自慢げだった。勿論それはBが商船学校出身だと知った上での虚勢である。かましたつもりだったろう。しかし、あまりにも浅はかで、
Bは思わず鼻水を噴き出した。
つづきは、
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